小泉八雲とセツが愛した日本 ― 史実と朝ドラ『ばけばけ』のあいだにある風景

小泉八雲とセツ

2025年9月29日(月)からNHKの朝ドラ『ばけばけ』が始まります。
主人公は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻、小泉セツ。
ドラマが描く物語を楽しみつつ、史実の八雲とセツの暮らしにも目を向けてみませんか。


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明治の新宿は「屋敷街」だった

今でこそ大久保といえば国際色豊かな街として知られていますが、明治のころの大久保は静かな屋敷街でした。
武家屋敷や広い庭が立ち並び、江戸城から離れるほど「田舎」と感じられていたのです。

武家屋敷と広い庭が残っていた頃の新宿

当時の大久保周辺は、武家の邸宅が点在し、豊かな自然も残っていました。

山野愛子邸さんなど、昭和まで続いた大きなお屋敷

昭和のころまで、大きなお屋敷が残っていたのを覚えている人も少なくありません。美容家・山野愛子さんの邸宅もそのひとつです。


八雲とセツの新宿での暮らし

1896年、八雲は東京帝国大学の講師として上京しました。

市谷富久町から大久保へ移り住む

最初は市谷富久町に住み、後に大久保に移り住みました。いまも「小泉八雲終焉の地」の石碑が残っています。

小泉八雲終焉の地と記念碑

その場所は現在でも訪ねることができ、八雲が晩年を過ごした静かな新宿の面影を感じられます。


自然に耳を澄ませる八雲の心

八雲は日本の自然や日常の音に深く魅せられました。虫の声や庭の影、木々のざわめきに心を寄せ、それを文章に残しています。

虫の声と日本人の感性

西洋では虫の声を「雑音」ととらえることが多いのに対し、日本人は虫の声に季節や情緒を感じます。八雲はこの違いを強く意識していました。

セツが伝えた昔話や怪談と八雲の創作

セツが語る昔話や怪談は、八雲の創作活動を支える重要な源となりました。


史実とドラマのあいだを楽しむ

朝ドラ『ばけばけ』では、史実とは異なる描写もあるでしょう。
けれどもそれは「ドラマとしての魅力」。史実とドラマ、その両方を知ることで、物語をもっと豊かに味わえます。

NHK朝ドラ『ばけばけ』の物語

セツの人生を軸に、日本の文化や家族のあり方が描かれていきます。

史実との違いを知ると、もっと面白い

史実を知ったうえでドラマを見ると、違いに気づいて二重に楽しめます。

『ヘルンとセツ』を読んで感じたこと

田渕久美子さんの『ヘルンとセツ』を読んで、一番心に残ったのは、セツさんのあたたかさと強さだった。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が日本で根を下ろせたのは、間違いなくセツさんの存在があったからだと思う。

セツさんは、派手に自己主張する人ではない。けれど、そっと隣にいて、支え、見守る。八雲が不安定になったときも、静かに受け止める。そこには日本的な「奥ゆかしさ」と、女性としての強い芯が同居している。

読んでいると、まるで自分もセツさんに包まれているような安心感がある。
「誰かのそばで生きることの美しさ」を教えてくれる人――それがセツさんだった。

『ヘルンとセツ』を読んでみる


おわりに

にぎやかな街となった現在の新宿。
けれどもその地には、八雲とセツが暮らした静かな屋敷街の記憶が確かに残っています。

ドラマと史実、そのあいだにある風景を味わいながら、この秋を楽しんでみませんか。

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